お疲れ様です。
柾木です。
皆さまいかがお過ごしでしょうか。
今回の冒頭小話はプチ講演会への出演が決まった話をします。
2023年11月16日にぼくの地元の寝屋川市で年に一度行われる市民イベント「ふれあいフェスタ」で、サハラマラソン挑戦についてお話をする機会をいただけました!
話す時間は20分で、大きなディスプレイなども用意してもらえるので日々取り組んでいるトレーニングやレースなどの映像も流すことができそうです。
今までの来場者は大人の方が多かったのですが、今年は地元の小中学生を沢山呼ぼうという趣旨もあるようなので子供たちの前で挑戦することの素晴らしさを語ることができそうです。
またイベントには寝屋川の市長や市議会議員の方も多数いらっしゃるので、興味を持ってもらえればさらに別の場所で告知や講演をするチャンスがもらえるかもしれません。
こういった不特定多数の人の前で話をすることは初めてなので今から緊張しています。
もともと極度の恥ずかしがり屋だったのでまともに話せるかどうかもわかりません。
ただせっかくいただいたチャンスなのでとにかくやってみます!!
今回はあくまでもイベントの中の一幕で喋るだけですが、講演会を行うのはちょっと夢だったので今からワクワクしています。一人でも多くの人に楽しんでもらえるような内容にしたいと思います。
話す練習をもっとしないと!
さて前置きが長くなりましたので、本題へ入ります。
今回のレース概要
レース名に入っているグランドトラバースは「雄大な横断旅行」を意味する言葉です。
嵐山公園をスタートし、清滝、高尾、鞍馬、大原、比叡山を経て、大文字山から山科毘沙門堂をゴールとするコースはまさに京都の環状稜線を通る、京都ハイライトコースとなっています。
距離は59キロ、累積標高は2400mとなります。レースで59キロの長さは初めての挑戦です。
累積標高だけ見ると練習で走った六甲縦走路の方が高かったですが、この大会は完走率50%前後と低く、数値で見る以上にハードなレースになりました。
レース目標としては10時間切り、全体の50位以内を目指して挑みました。
このレースは2週間後の9/17に走る丹後ウルトラマラソン100キロの練習も兼ね走りました。
当日の天気は、晴れで、最高気温35度、最低気温25度です。9月とはいえ日中は普通に真夏並みの暑さとなるので、しっかりと水分補給して熱中症にならないように気をつけて走りました。
体調は万全でしたが、前日の夜はレースが楽しみすぎてよく眠れませんでした。時間にしてだいたい4時間30分ほどでしょうか。大事なレースほど前夜は興奮して中々寝付けず、寝不足で挑んでしまうのはぼくの悪い癖です。
心構えと本番
順位も大切だけどまずは楽しむことが一番!
初めて登る山々なので、普通に登山を楽しむ感じで気楽な気持ちでスタート地点に立ちました。自宅からもそこまで離れていないのでコース的に面白かったら練習でも使おうかなと考えています。
距離的にも前回完走したフェアリートレイル・ロングコース40kmよりも19km長いだけだったので、まぁそこまでしんどくはないだろうとなめていました。
それが大きな間違いだということは後で身をもって知ることになります……
地獄の始まり
35km地点までは経験済みの距離だったのでそこまでつらいと思わなかったのですが、丁度いい感じに疲れが溜まってきたタイミングで比叡山へ続く登りに苦しめられることになります。
第4エイドを出発してすぐの36km地点、走り始めて7時間あたりから地獄が始まりました。
水井山(標高794m)山頂の登りは人生で一番辛かったと言っても過言ではありませんでした。坂というかほぼ崖のような角度の箇所が連続し区間もとても長い……….
あと自分の勘違いだったのですが第5エイドの関門時間を一時間勘違いしていました。
第5エイドの関門は17時だったのですが、なぜかその時は16時だと思い込んでおり絶対に間に合わない絶望感からよけいに心が折れかけていました。
冷静に考えれば分かりそうなものなのですが、疲れから頭が働くなっており間違いに気づくのにとても時間がかかってしまいました。
16:46分、第5エイド46km地点へ到着!!
ここの17:00の関門に間に合うと思わなかったのでケーブルカーの看板が見えた時は思わずやった!と叫んでいました。ただ関門14分前に到着したのでそこまでゆっくり休憩する余裕はありません。少し座って食べ物を補給しすぐスタート。
比叡山山頂の写真スポット。次はゆっくりと観光で来たい。
小川にかかる木の橋を渡る。
倒木が道を塞いでいるような場所も割と多かったです。観光地から自然のままのワイルドな道など様々な景色を見せてくれるので楽しかったですね。
46km地点の第5エイド到着!!
普通に学校でびっくりしました。ここまでくればもうゴールまで後少しです(そのあと少しがめちゃくちゃ長いんですが……)
ここからはヘッドライトの装着が必須となります。
実際のレースでヘッドライトをつけるのは初めてだったりします。このレース用で購入したライトはそこまで電池の持ちがよくないのでサハラの時は予備として持っていく予定です。
ここから最後の山である大文字山へ突入します!
まだ写真では薄明るいですが、この後すぐに日が暮れて完全な闇の中で走ることになりました。
この時に山頂から見た夜景はとても綺麗でこの一瞬だけは疲れが全て吹き飛ぶような気がしました。
トレランは基本的には鬼ハードですが、ふとした瞬間に見える景色が何よりのご褒美だったりします。
山頂を通過してまもなくすると完全に日が暮れて森の中は闇に包まれました。
体の疲れはもとより精神的にも追い込まれていたので、人生初めての幻聴が聞こえました。走行距離の長いトレイルランのレースでは、幻覚や幻聴を聞くことは決して珍しいことではないようです。今回自分が聞いた幻聴は撮影用のGoProの起動音が聞こえ続けるというものでした。
ヘッドライトを消すと完全な闇になってしまう山の中で、一人孤独に走っているときに前後左右から起動音が聞こえ続けるのはかなり怖かったことを覚えています。
ゴール後の率直な感想
ゴールした瞬間はウルトラマラソン100kmを初完走した時と同じく、やはり達成感よりも一刻も早く家に帰りたいという気持ちが大きかったです。笑
毎回レースに挑むときはその時点での最長距離に挑戦するのですが、今回は想像より何倍もしんどかったですね。比叡山へ続く登りでは本当に心折れかけました。体力はまだ残っているんですが、終わりが見えない登りが長く続いてしまうと気持ちが萎えてきます。
こういう時は頭の中を空っぽにしてひたすら無心で登り続けるのが正解だと頭ではわかっていても、どうしてもネガティブな雑念が湧き出てきます。何度、道端に座りこんでしばらく休みたいと思ったか分かりません。自分の心の弱さが改めて浮き彫りになりました。恐らく練習不足からくる極度の疲労で足が上がらなくなってきたり、少し止まって休憩してもすぐに疲れてしまうことも原因でした。
長い急登を登り続けるための体の使い方がまだ全然できていないので、今後より距離の長いレースを走るためにもそこの改善は急務だと感じました。
補給食は割と成功
上でも書きましたが、吐き気がなかったのは補給に成功したからだと思ってます。固形物中心で揃えた補給食が体にあってました。以前も書いたけど自分はレース用の高濃度ジェルよりも、普通の補給ゼリーやエイドの固形物の方が食べれるみたいです。
カロリーメイトもレースでも食べれるか実験するために持って行ったんですが、水分全部取られるのが怖くて試していません。笑
逆に成長を感じたポイントとしてはゴール後に吐き気が全くなかったことですね。練習でもあえて真夏の山を毎週走りながら自分に合う食材のテストをしたのはかなり効果がありました。
何故かおならが止まらない(笑)
レース中後半からすごくおならが出ました。笑 これについては何か理由があるのでしょうか。
ほぼずっと前後に人がいたので凄い気を使ったのを覚えています。
自分は体が追い込まれるとガスが出続ける体質なのかもしれません。
女性は強い!
前半部分で追い抜いたはずなのに、後半でバテバテのぼくを悠然と追い抜いていった女性が沢山いました。強い人は本当に淡々と同じペースを保っています。ここは見習わなければいけません。今どき古い表現かもしれませんが、長距離レースでは女性の方が根性があるというかハートが強い人が多い印象を受けます。
いくら練習をしていて強い体を持っていても気持ちが折れてしまうと人間は走れなくなります。走る距離が長くなればなるほどハートの強さが勝負を分けます。ある程度の距離以上を走ったら足が痛くなるのは自然な現象です。痛い、苦しい、辛いはもはや当たり前。それに進み続ける限り苦しみがマシになることはなく、むしろ悪化していきます。その状態でどれだけ自分に負けずに勇気を持って一歩ずつ足を前に出し続けることができるか。精神力を鍛えるのに「走る」ことはとても効果があると感じています。
新たに学べた技
精神や肉体の極限状態は必ずしも悪いことではありません。そういう状態だからこそ学べることが沢山あります。
むしろ極限状態だからこそ、より走り続けることに適した精神状態や体の使い方などを自然に体得していく気がしています。今回のレースでもいくつか新しい技を身に着けたので紹介します。
あくまでも走り始めて1年ほどの素人の意見なので「そんなこともあるんだなぁ」くらいの感じで読んでもらえればと思います。
意識を体に向ける方法
心が折れそうな時ほど、意識を体の感覚に集中させる必要があります。一番の理想は自分の意思の力だけで精神をコントロールし頭を無にすることです。これが中々難しい。
走り続けている状態だとまだいいのですが、急な上り坂を延々と登っている最中は特に難しい状態です。周りの景色も変わらず、前に進んでいる感覚も得にくい。でも時間はどんどん過ぎていく。
そこでやってみたのが「細い枝を見つけて強く手に押し付けて体に痛みを与える」ことでした。これだけ聞くと頭がおかしくなったのかと思われるかもしれませんね。笑
これが割と効果がありました。もちろん血が出るほど強くするわけではありません。あくまでも今すぐにリタイアして寝ころびたいという願望から意識を引きはがす程度の痛みがあれば十分です。
山を駆け下りながらストレッチしてみた
このレースは急登が多いのでそこでかなり体力を奪われます。なので下りパートでも同じように力んで走っていては到底体力が持ちません。
今までは下りもダッシュをするように駆け下りていました。ただ今回は後半にかけてその力が全く残っていませんでした。
そこで実験として体中の力を脱力させて、重力に身を任せる下り方をしてみました。坂道を転がる石ころの如く、下りの道に身を投げ出していくだけ。両手もだらんと垂れ下らせて下ります。
正解の走り方かどうかはわかりませんがこれが案外うまくいきました。
さらに重力を使って腰などをひねりながら降りることで、適度なストレッチになり疲労回復にも繋がったような気がします。
これをゾンビ走法と名付けようと思います。
レース後のダメージ
レース後はダメージが甚大なので一日寝ただけでは回復しませんでした。筋肉痛ももちろんありますが、それよりも体全体のエネルギーが枯渇している感じに近いです。高熱を出した後の病み上がりの状態が一番近いです。
気力なども使い切るので普通の行動をするのも億劫になります。この耐性をつけるにはとにかく修羅場をくぐっていくしかないと思っています。練習も同じメニューで続けていても肉体の限界値は上がらないので、強度を上げたり工夫をする必要があるのは感じます。
あとは右足の薬指の爪が剥がれました。もともとフェアリートレイルで内出血して真っ黒になっていたがそれに追い討ちをかけてダメージが加わったのが原因でしょう。明らかに爪が浮いてきてちょっと引っ張ったら剥がれました。幸い痛みはありませんでした。これも人生初体験ですね。
足の大きなダメージは前太ももくらい。今まではふくらはぎへのダメージが甚大でした。そこが強くなったのはワラーチを履いて練習しているお陰かもしれません。あとはお尻の大きな筋肉に筋肉痛がくるように動けるようになれば理想的です。
次回の挑戦
幻聴が聞こえるくらい追い込まれた大会でしたが、2週間後の9/17(日)に自身2回目の100kmのウルトラマラソンを走ります。1回目に走った大会よりもコースもハードで制限時間も短いです。
これは完全に自分のレーススケジュールの失敗ですね。笑 申し込んじゃったものは仕方ないので走るんですけど、恐らく体の状態も完全に回復することは見込めません。足の爪の状態もかなり悪く、痛みも引かないので本番はワラーチで走ります。
以前も紹介した上記写真のものです。ゴムの薄さは7mmしかなくほぼ裸足で走っているのと変わりません。練習で使っているとはいえこれを履いて100kmを走ることはもちろん初めて。間違いなく激痛に襲われることは確定しており、最終的にどれほどのダメージを負うか想像もできません。
でもまぁ、自分でやると決めたのであとは覚悟を決めて実行あるのみ。こういった挑戦は頭で考えてしまうと足がすくんで進めなくなります。とにかくやると決めたら実行する。結果がどうあれ自分で選択した行動なので後悔は生まれません。
それでは、ちょっくらサンダルで100km走ってきます!
今回は以上です。
最後まで読んでくださってありがとうございました!
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