2005年2月3日
表題は、今まで私の聞いた名言の中で最も好きになれないセリフである。
彼は、会社から給料をもらい、会社の資金や設備を使い、会社の販路を使って大ヒットした商品の開発者である。最近では、「日本の司法システムは腐っています。」のコメントで人間性の破綻を日本中にさらした人物でもある。どれほどすばらしい功績を残した科学者であっても、彼のような人間を教授にする大学も彼を尊敬する学生も、私は心底軽蔑している。
私自身は、技術者としての側面もあり、スペシャリストが管理者より低い評価しか受けない日本の人事制度に反感を持つ人間の一人である。しかしながら売上が発生するまでの全てを自分の手だけで実現できると本当に思っているのならば、会社組織などに属せずに一人で開発して売り込んで見ればいい。バックボーン無しでこれが可能であるならば、このセリフを云う資格もあるだろう。
一方、実際に彼の発明した商品自体はすばらしい。このプロダクツを評価する視点は彼の人格とは別でなければならない。そして、彼のその功績に対しては十分に評価しなくてはならないとも思う。彼の所属していた元会社もその点ではやはり全く洗練していなかった。どちらも未熟である事は本当に残念である。製品自体も未熟に思われてしまえば、誰のためにもならない。
しかし、彼の様な人間に自由に開発させる会社というのも管理体制などで大いに問題があると思わざるを得ない。残念な事だ。
2005年2月2日
2005年2月1日
月末月始にまたがって、夜勤をするのは初めての経験である。
毎月この時期は、色々な事務処理が重なるために現場に出るのは出来るだけ避けたいのだが、実際に仕事が集中するのはこの時期でもある。いつまでも消えないであろうジレンマの一つだ。
私には、人にはあまり見せたくない「絶対に退けない」部分がたくさんある。時にそれは他人から見ると本当にくだらない事に映るとも自覚している。しかしながら、この退けない部分というものが、起業家になろうとする人に共通する激しいサガみたいなものでもあると思う。
だからこそ、それ以外の部分では自分から一歩下がる様に心がける。何もかも最前線で何もかも退かず頑張っているようでは、「交渉」というものは成立しない。退いてみて初めてより広い視野で新しい発想で、物事に取り組む事が出来る。歩み寄る事が出来る。新しいトレンドに乗る事が出来る。
そして、我々のような小さな企業では、大きな企業の「絶対に退けない」分野で一歩下がって仕事をもらう。こうして力をためる第一歩を刻む事が出来るのだ。
一時の撤退は敗北を意味しない。目的を達成し、退くべき時に退けるものだけが名将と云えるのだ。
2005年1月31日
2005年1月30日
強気の創業社長として楽天的に生きている様に見られがちな私も、何かに向かって一歩を踏み出す時には大きな不安や悩みに捕われる事になる。そして、主観的になればなるほどその不安や悩みは大きなものになる。だから私は、不安に思うときはあえて自分を客観視する事にしている。その人にとってどれほど大きな不安であっても、どれだけ深い悩みであっても、人から見ればたいしたことではない事が殆どである。
客観視できれば解決は簡単で、最後はリスクリターンで考える事になる。客観視した自分から見れば、「リスクを取るべく賭けるものは、所詮自分の人生くらいなものだ」と割り切ることができ、賭けてみる価値が十分にあると判断できるものばかりだ。
だから、不安に思っている事や悩んでいる事の答えというものは、人に答えてもらうまでも無く、自分の中にすでにあると言い切っても良い。人に相談したり、こうした場に書いたりするのは、つまりは客観的な自分を引き出すための予備動作に過ぎない。
しかしながら、大きなリスクを取ろうとしているというのは、大きなリターンを期待しているときになる。客観視しきれないほど大きな不安を抱えているときは、大きな成功に向かって踏み出そうとしているときでもある。
だからこそ不安に思うときは、同時に期待に胸を躍らせているときでもあり、この上なく私らしいと思う瞬間でもある。