2007年3月3日
責任をもって仕事をしてもらうためには、その人が担当する責任の範囲の管理能力を育成していくフェーズを事前に作らなければいけない。
「自分の身の回りの事で手一杯」という状況から一つ抜け出してもらってチームの管理者として何をしなきゃいけないのかという部分を自分なりに把握していく事が大事だと思う。
マニュアル化されている部分に従うのは最低限として、気にしてフォローしておきたい事は何か、出来ればやっておきたい事はなにか、と優先順位をつけて取り組んでいけば「指示待ち管理者」のレベルから一歩抜ける事ができるのだと思う。
管理者を育成したいと考える経営の視点から考えてみると、私はよく3ステップで取り組んでもらえるように心がけている。
初めは物品の管理。次に情報の管理。最後に人間の管理。
目に見える不定のものから徐々に不可視で不定な管理しづらいものを掌握するといったように、段階的に訓練をつんでいくことが重要だと思う。
物の管理はルールも固まっている事が多いし、丁寧に気をつけていればイレギュラーがあっても判明も早く対応も難しくない。だからこそ引き継ぐにしても「ミスの無いように」を中心に責任感の部分だけを認識してもらえれば管理者としては合格ラインに届く。新しく物品を管理する必要があったとしても同様な例を踏襲すれば充分に対応可能だろう。
情報の管理になるとグッと難度が増して、参加するメンバによっては情報を共有する区分けを作る必要もあるしスキルによっては手法も変える必要がある。ノウハウ的なものはそもそもデジタルデータに落とし込みすることすら難しい事が多い。セキュリティと利便性の綱引きも状況によって変わってくる。
つまりはアグレッシブに状況を拾い、現状に合う対策を考え、運用していくといったように、主体的に管理する能力が求められる。新しい情報システムを構築しようとする事は組織そのものを作ることにつながるのだと思う。
そして最後に一番大変だと思うのは人の管理になるだろう。人の持っている悩みの深さや重さ、仕事や仕事にかかわる人に対する感じ方というのは絶えず変化していて、「こうすれば正解」といったものは作りえない。信頼関係というのは一対一で地道に作り上げていくより他は無いと思うし、そういった各者の状況に配慮しつつも、チームとしての方向性に沿う形に持っていかなければならない。居酒屋で話題になる一番重たいテーマはいつもこれだ。
我々のようなベンチャーは、一番下っ端からいきなりトップに躍り出るケースが多く、「管理」は手探りで進んでいき前任者のノウハウが引き継げずにイチから築き上げなければいけない。
なかでも「管理者」を育成していくとなってはこれがまたとても大変で、試行錯誤で取り組んでいる。
「組織」を創るのだと決めた以上、トレーナーズトレーナーの育成は早くから始めるにこした事は無いと思うし、ここが次のステップに臨むための避けては通れない道なんだと思う。