2007年4月28日

ビービーネット株式会社

最近ブログの更新が滞ってしまった。
ちょっと個人的に面白い営業のお話が来ていて、暇さえあれば調べたり考えたりしていた。
先日ビービーネット株式会社の方からコンタクトがありお会いしてみた。
ちょっとビジネスモデルというか提案内容が面白かったので紹介。
要は増資を引き受けるからその資金でウェブシステムを作らないか?という提案。
当社としては適切な資本政策下で他人資本を受け入れて増資をするのは好ましいと思うし、創りたいウェブシステムというものもあるので、一見とても面白い提案だと思った。
スキームとしてはこんな感じ。
まず当社の株は1株5万円なんだけど、これをずっと高く評価して2000万程度増資しつつ株主比率を15%以下などに抑えて連結の対象外にとどめおく。
次にこの2000万円でビービーネットのウェブシステムを買って作ってもらう。
確かにこの絵がかければうちとしては、株の放出を抑えつつ且つ大きな増資が見かけ上実現できて、更にキャッシュを使わずにウェブシステムを作ることができる。
ビービーネットとしてもちょっと通常にウェブサイトを作るだけじゃ考えられない規模の売上を上げることができるし、増資として渡した資金も即時回収できるのでノーリスクで未上場企業の株式を取得できる。その後のシステム保守も流れで受けられそうなので引き続きわりと堅い定期収益が見込める。
しかしこれは、増資とシステム販売を同一企業が同じタイミングで同じ値段でやる事に問題は無いのだろうか。未上場株式の一株あたりの金額なんて好きなように算出評価可能だろうから、どんな金額の増資&売買も成立してしまう。
ヘラクレス上場企業だから監査も通っているのだろう(と営業にきたかたも説明していたし)けれど、せめて投資活動の部分は息のかかった投資事業有限責任組合あたりに任せて還流させてくれないと、当社側の増資も架空増資感が拭えないし、第一ビービーネットサイドも売上計上できるか判断が難しくなるのではないだろうか。ライブドア事件以降グレーなエクイティファイナンスは何かの拍子に黒に判断されがちなので、適法に白く塗る努力を怠られるとお金を入れられる側も困る。
という感じで、とりあえず今回は保留にした。
それともう一つ。投資家の目という視点で考えると、このビジネスモデルはエクイティファイナンスを何度も行う必要のあるビジネスモデルだ。売上の実質は株券に化けていて、未成熟なセカンダリーマーケットでの売却を視野にいれているのだけど、IPOまでいく可能性がない会社の株式では売れずに抱え込む可能性だって大いにある。株主比率も低いのでその会社が既存株主価値を薄めるエクイティファイナンスを実施されたら防ぎようも無い。そのあたりを細々と保守料金だけで凌いでいけるのだろうか。
エクイティを利用した錬金術だけで実需を興さないと既存株主の死体の山が築かれてしまう。責任とって社長さんが辞任してしまうほど経営の厳しい状況下では手の組みようも無いので、とりあえず新社長さんの手腕とビジネスモデルの再構築を見てから必要ならコンタクトをとる事にしよう。
でも、面白い。ビービーネットのビジネスモデルが社会的に通るなら、資本政策の幅は非常に広がるのだと思う。今後の市場の判断にも期待です。