「誰をバスに乗せるか」
経営に携わる人なら、ビジョナリーカンパニー2のこの言葉、グサッとくるのだろう。
しかし、最初から人材条件に恵まれた大企業やスーパーベンチャーならとにかく、中々一介の中小企業の創業期には、最高の人材を選んでスタート!とは行かないものだ。
だから会社は「育成」をする。
会社を立ち上げるのも、新規事業をスタートさせるのも、簡単な事だ。
難しいのは継続させて、実績を上げる事。
「誰をバスに乗せるか」と悩むのは経営にとって見れば少し贅沢な悩みだ。そんなビジョナリーな会社にいる人は幸せかもしれないが、凡人が必死に今ある仕事や資源で戦うのが寧ろベンチャーの王道だ。スタートは易く、継続は難い。
だからこそ、甘えは許されない。

今年度のインターンシップのテーマは、「経営分析」に力点を置こうと思う。
昨年度は、コミュニケーション理論系の座学と現地作業の実践を通して、どちらかというと体験学習のようなイメージで行っていたし、インターン受け入れ初年度であった一昨年は、社長の鞄持ちということで、私に同行してもらうことにより主に「見る」研修であった。
今年の試みとしては、会社を客観的に分析してこれからのステージに必要な戦略を提案する、「考える事」を中心に据えたインターンにしようと思う。
もちろん、経営学を専攻していない学生に対しても最低限のマーケティング・人材管理・アカウンティングあたりは教えようと思うし、将来就職するにしても有用になるであろう多くのフレームワークも取り入れた実習にしていきたい。
大学生は「ハイパーキャンパス」から、専門学校生は学校の就職部等からの応募を請けているので、積極的に参加して欲しいと思います。
よろしくお願いいたします。

最近営業先や採用面接で、
「ブログ更新されませんね・・」
と、言われてしまいまして。本当に申し訳ありません。
意外と見ている人多いんですねぇ。
では、あたりさわり無いところで、新規開拓をテーマにして。
この業界は、人手が足りない。基本的には技術やノウハウを持っている会社は歓迎されてパートナーシップが結びやすい。
今すぐのニーズが無くても、急で大規模なプロジェクトが周辺で興り、巻き込まれてしまう事はITサービスを行っている企業であればどの企業だって発生しうる。
だから、何時でも請けられますよという状態を作っておくことが大切で、もう一つはこの業界である程度の実績を持っていることが大切。
当社ももうすぐ第5期が終わる。最初の頃に比べると、格段に営業はしやすくなった。関東や関西のお客さんで、名古屋に営業所の無いクライアントのニーズも増えてきたし、POSレジやATM等の「信用」をベースとした金融機関系の仕事の経験や実績は、同業のお客様にも高く評価してもらえる。
何よりも同業の方からの「紹介」は新規を開拓する上で大きな力になっている。我々の業界は保険の営業等に似ている。顔を出して繋いでおいて、お仕事が発生した時には相談に乗りながら仕事にする。できるだけ多くのお客様にパートナー企業や取引先を紹介してもらう。売上に持っていく部分や、利益ベースに乗せる部分は、またもう少し違ったアプローチでの取り組みになる。
最近は受け入れ態勢を広げようと採用を加速している事情もあって、新規の開拓にも力を入れている。今日も数社の方と商談して、幾つかはいい手ごたえがあった。
今からも、もう一つ「紹介」から案件につながりそうな話を聞きに行く。
新規の営業は、当然の事だけど思うように行かない事もたくさんあるし、嫌な断られ方もする。しかし、すばらしい出会いもたくさんあって、それは新規開拓している人にしかわからない気持ちなんだと思う。
さて、もう一歩だけ先に進む為に。頑張ろう。

2008年4月19日

経営者

普段の仕事とは別に、経営者には刺激を受ける機会が山のようにある。
今週は月曜日から関東方面に出張していて、中々お会いできない遠方のお客様や協力会社にご挨拶してきた。
当社の協力会社やクライアントにはベンチャーも多い。本当に限られた経営資源の中でお互いもがきながら、ビジネスをマッチさせていく。ヒトもカネもモノも情報も時間も、全然持っていない。驚くほど大胆にヨソの経営資源を当てにした生命力の強さみたいなものは、ベンチャーならで面白さを感じる。
うちはバランス型だけど、経営資源はちょっとは持っている。でもどれも充分ではない。ものたりない。だから、一点突破型の経営者はちょっと羨ましくなったりもする。
営業が得意で、良いお金を取れるお客さんも自分についてくる人も持っているのに、全然お金持ってないタイプや、借入が得意で思いっきり財務レバレッジ効かせて勝負しまくるタイプや、大量の人抱えているのにカネもなく、仕事があまり取れなくなっていってエライ事になっているタイプ。何十年も基盤を作って経営資源たくさん持っているのにさっぱりお客さんを作りに行かないタイプ。
どんなタイプの経営者もその従業員も一生懸命やっているのは見てわかる。強みを活かした何かがきっと出来るだろうになぁとも思う。
私は、経営は投資と表裏一体だと思う。証券出身だからそういった視点からは抜けられない。コーポレートファイナンスがインベストメントと一対なのと似たような感じだ。投資相談を受けていた時も、信用で思いっきりやっちゃいけないよ・・と言っていたのと同じように、思い切ったリスクをとって勝負する事はあまり無い。
だからこそ、とんでもなくデカイ取引があるわけでも優良な顧客やスポンサーがいるわけでも、借金でクビが回らないわけでも、募集したスタッフが食えずに路頭に迷うわけでもないのだが、一点突破型のギラギラした経営者に会うとちょっと羨ましかったりもするのだ。
今期はもう決算期が近いので、刈り取り期に入らないといけないのだけど、来期はもう少し勝負してみてもいいかなと思う。今年は「体制体制」といい続けて、それなりに形が出来てきた。新規のお客さんも増えてきた。
蒔いた種から、面白い話がたくさんあって、羨ましくて、あまり我慢していたくない気持ちが沸いてきて。
「経営者はリスクをとるもの。」
今日、ちょこっと話を聞いた税理士さんが話していた。
そうなんだよね。経営者ってリスクをとりたくなるイキモノなんだ。
久しぶりにもう少しだけ攻めてみようかな。

2008年4月13日

リスクマネジメント

リスクという言葉は浸透してきた。
しかし、リスクを「ゼロにしたい」「できるなら避けたい」としたら、それはとても残念な事だ。私にはそれは「仕事をしたくない」「何も挑戦したくない」というのと同じ響きに聞こえるからだ。
そして、想定しうるリスクが実際に発生したとする。その頻度についてもインパクトについても当然想定済みの事だ。
しかし、実際には適切な監査や改善を考えもしなかった甘い汁だけを吸っている外野が突然口を出してきて、糾弾し、責任転嫁し、排除する。声高に「リスクをゼロにしろ」と叫ぶ。そして、「プランは最高だった。オペレータが無能だった。」という最初から準備された結論を口にし、改善すべき全てのものから目を逸らす。
品質は大切だ。
防げるトラブルは未然に防ぎたい。
しかし、経営資源は有限で、時間はそれ以上に有限だ。
たとえば、全ての工程をカバーする、完璧にイレギュラーケースを想定しつくした手順書が完成したとする。しかし、読み込むのに1週間かかるとして、その手順書を1時間の作業に用いるのは適切か?トラブルを起こした際に、「手順書に従わなかったから」という原因判断は正しいか?
たとえば、完璧に作業を理解するためには1年の研修を要する作業だとする。たった一日の作業のために、下請企業負担や作業者負担で研修を必須と強制するのはまともな企業のすることか?
そして、そこまでやったとしてもリスクはゼロにはならない。あたりまえだ。
プランは完璧だったといわれ、切られるオペレータは報われない。
平気でこんな事を要求するリスク管理者がいたとしたら、その人の下では仕事が成立しない。
だから平時仲良くしているお客様相手でも、契約時にはリスクの確認はするし、それはその会社を信用していないわけでも、いちゃもんをつけたいわけでもない。リスク管理の問題は、何か起こるまで水面下に潜む事が多く、なるべく目をつぶりたいと考えがちな問題だから、取引に際に提起するのは自然な事なのだ。
そして、何よりも問題なのは、そういう「プランは完璧だった」というリスク管理者からはけして実情が経営まであがる事が無いという事だ。これは、経営者からすると何よりも恐ろしい。現状から目を逸らすリスク管理者の下でマネジメントが回っている事などありえないからだ。
外野で、何か起こると実情も知らず大騒ぎする人は必ずいる。そういう人は大抵責任も取らないし、カネも出さないし、時間を使う事も無い。ただ大声を出す。時々重要なポジションにいたりもする。
しかし、そういう人に配慮?して、現実から目を逸らし、カンペキでしたという管理者がいたら、経営者からオペレータまで全ての関係者にとって不幸だ。大声を出した外野だけがヨシヨシといっていても仕方ない。大企業なら幹部がテレビの前で頭を下げる日も遠くないだろう。
仕事をする以上、リスクは発生する。どれほど酷い現実でも正面から見つめて、対策を考える。
それがリスクマネジメントだ。