キッティングの話の続き。一つ目のノウハウは正確さだった。

もうひとつは、効率。

キッティングに時間をたっぷりかけられることなんてスケジュール的には殆どない。だから正確さを追求しながらも、効率を最大限上げていかなくてはいけない。パソコン触ったことのない安い労働力と、ITのプロでは、そもそも手の速さがまるで違う。単純に時給換算してしまっては最適な効率を導き出せない。

更にキッティング単価を詰めてしまうと何が起こるかというと、なんとキッティングをせずに現地に送り込む、という事をしだす。現地で一台一台行うことと、一斉にできる設定を広い場所で並列作業を行うのではどちらが効率的か、なんてことは誰だって知っているし、そもそも事前キッティングというのが、お客様先での工数を極力減らすことと全体効率を最適化するために存在するのに、事前キッティングをしないなんて選択肢はあり得ない。

短納期で、現地作業の日数を減らしてしまうとしても、キッティングをしてから送り込んだほうが効率的だ。しかし、それが見えなくなってしまう。

手順書の作成を端折ってしまったり、初回の作業者説明を省略してしまうのも、後の効率を考えずに目先の進捗にとらわれてしまった結果だ。

かくしてプロジェクトは炎上し、最終的に追加要員をどんどん放り込み人海戦術で最終処理を行うことになる。予算も無尽蔵に必要となる。

効率を考えたときに、単純作業の流れ作業と思われがちなキッティングにプロの手を使うのは大切なことだ。安く・安くは、高くつく事になる。

当社はフィールドエンジニアリング、サポートエンジニアリングを中心にPCサポートを行っている会社で、ICT業界では珍しく開発を行わずに導入・運用フェーズに特化した会社です。

特に、「キッティングサービス」においては、創業以来力を入れていて倉庫内・工場内・客先問わず、経験豊富なスタッフをたくさん抱えていて、ノウハウが面々と築かれている。

キッティング、と言われても一般的にはピンと来ないかもしれないけれど、PC導入などの際に使える状態まで設定を作りこんでいく作業の事だ。企業によっては、現地の導入作業前の出荷前作業だけをキッティングと呼んでいることもあれば、現地作業(動作確認)まで含めてキッティングと呼んでいる会社もある。また、現地で会議室などを借りてまとめて行える設定作業を現地キッティングと呼びならわして、個別に行う導入フェーズと分けていたりもする。

 

キッティングは流れ作業だ。ノウハウなんてあるのかと思う担当者もいるかもしれないけれど、間違いなく存在する。

一つ目は、正確さ。

流れ作業であるゆえに、なんとなく一つ一つの精度が低くなってしまいがちである。単純作業の繰り返しのため、普段ITになじみのない人たちが動員されているケースもある。しかしながら、キッティングされたマシンはその後現地に送り込まれ、キッティングミスしたマシンは、その後の工数に多大な影響を与える。一定の割合でミスが発見されようものなら大変なことだ。お客様の要求で現地にて再確認作業が追加発生等の事案はいくらでも存在する。

では、どうすれば正確に作業を行ってもらえるか。一つは、「その1台1台が現地では大切なオンリーワンの1台で、この川上の工程であるキッティングがミスっているとその後の工数に多大なる影響がある」という事を作業者に認識させること。この説明を怠って、「ダブルチェック・トリプルチェックを行う」「チェックシートの項目を莫大に増やして・・」のような対策をよく見かけるが、キッティング品質向上の対応はそうではない。作業者の「認識」が第一だ。

続きは明日。

2013年9月26日

退店前連絡

うちの業界、報告がきっちりできるだけでその人の作業品質は高く評価されます。

指示がなくてもやったほうが良い連絡。

1.入店連絡

これは、手順書や作業指示にある分だけでなくて、各商流のキーパーソンが見られるところに送っておく。

2.進捗経過報告

必要が無くても、管理者は気になっているものなので、特に一番初日の作業などは進捗を報告しておく。

3.退店連絡

これも、1と同様に指示されたところは必ず報告する事と同時に、関係者には伝わるように念には念を入れて報告を入れておく。

 

と、まずはここまでは、実は単独作業やリーダーワークを行う上で最低限。

その上、私が必須だと思うもの。それは、

「退店前連絡」

です。退店後に退店連絡も入れますが、「退店前」にも統制・ヘルプデスク等には必ず作業完了報告として、退店前に電話連絡を入れます。

そして、作業中に起こったことや、お客様から問い合わせのあったこと、小さなイレギュラーあたりを報告し、お客様確認サイン印等書類不備が無いこと、更に忘れ物確認が万全な事を告げて、退店許可をもらう。

当然のフローにしている会社も多いのだけど、指示されてなくても「退店前連絡」を入れる。これが自分の作業品質を証明する第一歩だと思う。

一番忙しいタイミングから、更に何かしらかの仕事が入った時に、それでも応える事ができるかどうかで、基幹となる仕事まで繋げられるかどうかが決まる。

そのあたりの機微がわからなくて、できる範囲だけでやれるだけの仕事を行っているうちは、その人自身は気が付いていないかもしれないけれど、誰かに食べさせてもらっている状況から脱していない。

フルフルに忙しくなってきて、その上で仕事が追加されてくることが想定できるのだとしたら、一つ上のステージに立って仕事をする準備ができたという事だ。会社というのは、そういう人、上位何人かが実際には回していて、そこの人材層は常に不足している。

2013年8月30日

第10期決算総括

第10期の決算総括でございます。

まず初めに、このトライアンフ10年を支えて戴きました、お客様・社員・作業スタッフ・パートナー各社には、心より感謝申し上げます。

好調であった9期の勢いそのままに、堅調な受注基盤のできた1年だったと思います。また、静岡オフィスも順調に稼働する事が出来まして、長年懸案であった静岡エリアも請けきることができるようになりました。

年商としても10期は2億円を達成し、力を尽くした結果を残すことができました。静岡の増収分に加え、本社の受注量の伸びが大きかったことが増収要因となります。

利益水準としては、9期に比べ厳しい水準の結果となりましたが、9期のコストカットが行き過ぎであったところを揺り戻し、スタッフや社員への還元、募集や教育への予算投入、バックアップ体制の強化等に費やしたため、品質や受注の受け皿といった点で格段の向上を果たすことができましたので、関係者様にはご理解いただけることと存じます。

財務状態と致しましては、北陸銀行様より破格の金利でのご提案があり、追加の融資を受け、より安定したキャッシュフローの元、大型案件が発生しても充分に資金余力のある強固な財務基盤を作ることができました。

当社の強みは、現場技術者に「プロパー社員、登録スタッフ、パートナー会社」をバランスよく持っており、技術やノウハウの蓄積、現地での教育、緊急時の大量人員対応、大規模エリアの対応を可能にしている事、統制・ヘルプデスクから現場リーダー、大量のワーカーの全てに対応できる請け切り体制が整っている事。古物による中古PCや部品の調達から軽貨物配送まで周辺業務にも柔軟に対応できる事。そして、その強みを社員を中心に現場のスタッフ一人一人が良く理解している事です。

10期躍進の内部要素は、そうした強みを充分に活かしきれたからだと思います。

市況としては、XPからのセブン化、スマートデバイスの法人普及、アベノミクス等による経済高揚策等、大きな流れが来ており、きちんとその波に乗ることができました。この良い流れは11期も続いていくと感じています。

11期に向けての課題と致しましては、10期完全に停滞してしまった東京オフィスの再強化、全社的な営業力強化を図っていきたいと考えております。

それでは、今後とも変わらぬご支援の程、何卒宜しくお願い申し上げます。