2005年11月24日
24日、私の母校である立命館大学の授業にゲストスピーチとして招いていただいた。
ちょうど本日京都での仕事があるという事を母校で教鞭を取っている友人に話したところ実現したスピーチであったのだが、およそ200人の聴講生の大切なひとコマをいただき、本当に恐縮である。
授業そのもののメインテーマは福祉であるが、フリーター・ニート等の問題を考える一つの材料として、彼らに近い世代の先輩として雇われる側・雇う側の両側面を経験している私自身の経験を話し、聴講生達が「働く」と云うことは何か?を考えるきっかけにしていただけたら幸甚である。
ちょうど祝日の授業で、大教室の授業、と伺っていたので、登録人数は多いけれども参加者は少ないのではないか?と考えていたのだが、実際に教室に入ると本当に多くの受講生がまじめに授業に参加しており、あらためて後輩達の学習意欲の高さを感じた。教壇にたって私が話し始めると私語も無く真剣に私の話に耳を傾けていただき、私が大学時代大教室で授業を受けていたときの受講態度を思い出すと考えられないほどのレベルの高さである。
大まかな話しの流れとしては、「留学」「就職」「起業」という大きく三つのステージにおいて、自分が決断するまでの動機や環境などについて語った。それぞれのメリット・デメリット等についても愚直に語ったので、現在の当社の未熟な部分もリアルに伝わったのではないかと思う。
時間的には50分と限られた時間ではあったのだが、その後受講生の方達に感想を書いていただく時間を取ってもらった。私も個人情報の分からない形で拝見させていただいたのだが、受講生それぞれの切り口で私のスピーチを分析・社会保障やインフラについての関連付けや行政の対応などを書かれており、私の方が勉強させられる内容・感想が非常に多かった。
私自身、利潤を追求する民間企業に属する身ではあるが、このような形で産学連携を進めていくことも社会活動の大切な一つであると考えている。
このような貴重な機会を作っていただいた友人に、真剣に私のスピーチに耳を傾けていただいた受講生の方々に、心から感謝の気持ちを伝えたい。
この度は本当にありがとうございました。また、機会があればぜひスピーチ・ディスカッション等にも参加させていただきたいと思います。
2005年11月21日
一つの大きなお仕事が存在したとして、そこに関わってくる業者の数は発注者・受注者ともに考えている以上に多い。当社としては典型的な孫請・曾孫請会社だといえるのだが、世間で感じているような下請けの悲哀みたいなものの中で仕事をしているかといえばそんな事はない。
なぜならば当社のサービス品質は本当に高いと最高責任者である私が心から感じているからだ。ある仕事で、A社というお客様がB社というメーカーに発注したとしよう。B社は全国展開する能力のあるC社にこの仕事を委託する。C社はそれぞれの担当地域でもっとも信頼と実績のあるD社に委託する。D社はその期間仕事が請けられるE社を探す事になる。
我々はそのE社レベルの仕事をしている。
発注から実際の作業に入るまで、3・4社入るのはよくあることで、仕事をしていれば追加作業や変更事項がどんどん発生する。そうしていくうちに黒字と思われていたお仕事が赤字化するのだ。
さて、一旦赤字化したお仕事は、軒並み全社赤字になるか?と云われるとそんな事は無い。追加・変更を願い出たのはどこのレベルか?その時のコストはどこが負担するのか?を詰めていけば、B社とD社は赤字だがC社とE社は黒字である、といった縞々模様の状況が発生したりするものだ。
どこの会社も依頼して来た会社や自分が使っている下請けを真っ赤にしたくない気持ちはあってしかるべきだが、コスト意識も無くどんどん追加作業を委託していく場合には、整然と請求をあげる事にしている。クレームなどと共に降りてくる対策追加作業について、料金を請求するのは交渉を担当する営業現場としてはつらい。つらいが、自社よりも下に連なる会社やスタッフに迷惑をかけるのであれば、正々堂々と請求する事こそ正道であろう。
「人が動けば、金が動く。」この原則が理解できない会社には、きちんと責任を取ってもらわなければならない。そして、正当な要求をきちんと通すためには、きちんとしたサービスを自らが行っていく事に尽きる。当社はきちんと請求する。スタッフが動いているのに無給で働かせる事はありえないし、品質を担保するために一つ一つをきちんと黒字の案件とする。
当社の指揮下で働いてくれている会社にもスタッフにも迷惑をかけない会社でありたい。
そのために体を張って交渉するのが、社長の仕事である。
2005年11月1日
資本金1000万円。
ほんの少し前までの事だったが、株式会社設立のハードルは我々コネ無しカネ無しの青年には果てしなく高かった。大体普通にサラリーマンをやっていて、1000万円が自由に使えるようになるのはいったい何歳なんだろう。もしかすると一生そんな時期は来ないのかもしれない。だからこそ、「株式会社」の創業者というのは、これまで普通の感覚ではめぐり合えない人種だった。
現在の我々の状況は違う。なんと1円から株式会社を作ることが赦され、来年には「5年以内に1000万まで増資しなさい。」という特例扱いも無くなる。
私自身特例に乗って有限会社を設立し、一年と少しでノルマ300万(有限会社であれば300万)まで増資した。特例制度の利用者であるから、鉄の意志で300万の資本金を溜めて起業してきた先達に比べれば体制や準備に甘い点もあるかもしれないのだが、それでも「誰でも株式会社の社長になれます」という方針には賛成できない。
会社を経営しているものにとっては等しく感じているものに、取引先の信用リスクというものがある。BtoCのように原則即日現金取引であれば問題は無いが、法人同士の取引では売上と受渡には期間的にズレがあるのが一般的であるし、大きな金額になって支払ってもらえなければ一気に経営危機になる。未払いリスク程恐ろしいものはないのだ。
大企業であれば、取引先の財務状況などは当然把握しているし、信用リスクについても個別に調査できる。だが、我々のような中小企業には信用を計るためのコストはかけられない。そこで、大きく「会社形式」で見る事になるのだ。当社であっても可能な限り取引先は法人企業、できれば株式会社、可能であれば上場企業としたいと思っているし、私が起業した際に法人にこだわった主要因もこのあたりの信用にある。また、ホームページに財務諸表を載せているのもオープンに当社の信用を判断していただきたいからである。
さしあたり起業のハードルは低くして、努力しない企業は退場してもらうというこれまでの方針は制度の利用者である我々から見ても自然だったと思う。当社も株式会社に組織変更する事については前向きに考えていきたいが、可能な限り早い時期に資本金は1000万まで増資しなければならないと思っている。
それにしても。やはり1000万円のハードルは高い。先人達の努力には頭が下がる。
2005年10月17日
ビジネスにおける懐の深さというものは、いかに多様な視点で物事を捉えられるか?一つの事象に対し複眼で原因を見る事ができるか?にかかっている。
今、労働市場は驚くほどに人材不足だ。大手ほどリストラを重ねて大切なノウハウや技術を失っている。最近では特に、技術者のいないSI企業からの仕事の発注も珍しくない。調整力も衰えておりスケジューリングも常にギリギリにしかできなくなってきている。当然、プログラム処理した方が効率的で早く、ミスも少ない事案でも、人海戦術になる。
当社の仕事はある意味、こうした事情を背景にして成り立っている。おそらく10年前には考えられなかった状況に違いない。だからこそ、発注段階の状況は粗い。テクニカルなサポートも期待できないし、スケジュールは見えない。
こうした状況の中で仕事を請ける我々の人材の品質は高い。いや、むしろこうした状況であっても自分の守備範囲をきっちり対応でき、かつクライアントの粗さも受け入れられる人材でなければ勤まらないのだ。そして我々の階層で働きうる人材も少ない。この業界の人材不足は、考えている以上に根が深いものだと思う。
2005年10月6日
当社大阪オフィスから西に徒歩15分。1Km位の距離にあるマジックバー「Bar&Magic A-omoro」は、大学時代の友人がプロデュースするお店である。
当社が大阪オフィスにチャレンジするのと同時期の船出という事で、応援していきたいと思う。彼とは大学時代の本当にコアな部分を共有した仲間であり、マジックという分野で今も戦っている数少ない戦友でもある。私自身は企業経営という道を選んだが、あの頃の夢をきちんと形にして自分の道を往く彼の姿は本当に刺激になっている。
現在、西日本の仕事も大きく請けていて皆も大阪周辺に赴く事もあると思う。オフィスに行く機会があるときは、是非寄ってみて欲しい。