スタッフのワークスタイルや請けられる仕事の幅を増やすために創業以来とろうとろうと思っていた派遣業の許可がついに今月降りた。
当社が責任者ワークに誇りを持っているのはこれからも変わらないし、主体とする営業方針が請負型であり、ある種「派遣」というものに対するアンチテーゼを持っている事もこれまでと変わらない。
しかし、人的リソースが有限であり、クライアントが直接指揮権を持ちたい仕事のケースも当然あり、ニーズに応えていくために法的に必要な整備をしていくのも企業体の使命の一つだと当社は考えている。
何はともあれ、この派遣取得までのプロジェクトは苦しいジャッジの連続で、何とかできたなぁと云うところが本音である。
事務所要件、資本金要件、管理者要件、どれもゼロから始めた当社のような新興企業にとっては重いものばかりだ。今年の一連の社内体制整備の多くは本件をターゲットにしていたといっても過言ではない。
あとは、13日に愛知労働局に伺って交付説明会を受ければ晴れて派遣事業を行うことができる。
攻めるための布石は、一つずつ整いつつある。

2006年10月4日

起業の魅力

今週のB-ingには、当社の田中さんを特集で取り上げていただいている。
一緒の号で採用募集も載せたのだが、今回の記事、反響といい出来栄えといい本当にいい。
起業の魅力というのは、社長自らが語るのはそれはそれでいいと思うが、他の社内スタッフから語られると一層引き立つものじゃないかと最近思うようになった。
特に創業期を一緒に戦い抜いているメンバーというのは、本当に様々な想いを胸に「会社創り」に貢献している。
充分な技術なり経験なりをつんだ人物であれば、今の時勢、引く手あまたなのは言うまでもない。その中で「当社で働く魅力」というものをそれぞれ見出して仕事をしてもらっているのだから、これはもう本当に社長としてはうれしいものだと思う。
うちくらい小さなベンチャーであれば、「自分の担当した一つの仕事によって、お客様が信頼を寄せて、より大きなお仕事を任されていく。」という過程が、ありありと感じられる。自分が切り開いた結果によって自分の新しいステージを導いていけるという魅力だ。
そして、自分の切り開いた道によって新しく人を募集し・育成し、個人からチームへと仕事するスタンスが変化していく。そんな大きな企業の歯車であれば何年もかかるその過程をギュっと濃縮して経験できる魅力もある。
この特集では、田中さんの言葉、
「それまで培った知識が通用しないなら新しく覚えるまで。経験があるとはいえ、そこにあぐらをかく真似はしませんよ。」
というトライアンフに根ざすスピリッツをそのまま記事にしていただけた。
なんといっても当社のみんなが共通して感じる魅力は、こうしたアツい気持ちをもったメンバーと一緒に働いていけるという喜びにあるのだと私は思う。

技術を伝える事はできるけれど、感じる事を教えるのはとても難しい。
人はミスをするものだし、思い通りにコトが運ばない時もあると思う。
それを人のせいにしてしまうのは本当に簡単なことだと思う。
しかしその瞬間、「些細なミス」は「致命的な欠陥」に変わる。
出来事は変わらなくても、まわりの感じ方が変わるのだ。
トラブル解決の原則は常に変わらない。
「迅速に・誠実に・関係者全てに」と云うものだ。
これは、自分のエラーをフォローする立場のみんなについて、どれだけ感じる事ができるか、に尽きる。
トラブルの解決には全力をもってあたらなければならない。感受性は本気にならないと最大限に発揮されないものだからだ。
だから、逆境にあるときにはまず自分に問いかけて欲しい。
「全力を出し切っているか?」
関係者のそれぞれの想いが理解できれば、トラブルに対する自分のアプローチもきっと変わるはずだと思う。

いつもよく読んでいる雑誌に「PRESIDNT」というのがある。
コンプライアンスの指摘に、いつも感じている事が良く纏まって載っていたので自分の考えを整理するいい機会になった。
それは、「問題が起きると誰も守れないような厳しいルールが作られる。そうしたルールは誰も守らない。ルール遵守の気持ちが萎えると守らなくてはいけない最低限のルールまで守られなくなってしまう。」と云うことである。
私は、ルールは最低限で公平なものを皆でしっかり守る事が大事で、その上の部分はマナーや常識の範疇だと思っている。ルールに決められていないからと云ってマナー違反をする人と、守る事のできないような厳格なルールを定める人は、どちらも組織にとって害になる。
ルールを定める権限を持つ人は、運用が成り立つかどうかをしっかりと考えなければならない。

経営者であれば、従業員の労働環境はなるべく整えてあげたいと思うし、採算性をにらみながら、精一杯のラインを常に試行錯誤しているものだ。
一方でベンチャーで働く意義というのが、「そのときそのときの労働の対価の賃金」であっては続かないと思う。残業や突然入る仕事が嫌で、納期に責任を持ちたくなくて、同僚のフォローや後進の育成に興味がない人であれば、公務員か大企業の歯車として生きていく道を選んだほうがいいと思うし、そういう生き方も一つの正しい生き方だと思う。
創業ベンチャーにはもともと何もない。
創業メンバーが力を尽くして切り開いた道は、けして自身の残業代のためや代休を纏めて取るためでもなく、容易とは云いがたいものばかりだったと思う。
だから、どれだけスキルの高い人であっても「まず休日や残業について聞かせてください。」という人には、ベンチャーで戦い抜くことは残念だけどできないと思う。
採用面接等にあたって、まず我々が聞きたいことは、
「君のアントレプレナーシップをアツく語ってくれ。」
と云う事。
その上で会社のビジョンとすりあわせをしていければそれが一番いい。