2006年1月27日

《数学にはまる》

学生の頃は、「なんでこんな事を勉強するのだろう?」という事が多々あった。
大学を卒業するまで、「学問は実生活に活かせるもので無ければ意味が無い。」という実学重視で学んできた。
おかげで経済学や会計学について理論的な部分を問われても表面をなめるようにしか答えられないが、実際に投資や経営、税務を行う事は滞りなくできる。
一方で、抜け落ちた基礎の部分で判断が揺らぐ事も多いし、納得できずに釈然としないままルールを丸呑みしている事も多い。実学重視とは「そういうものだ」と思って飲み込む事である以上、仕方が無いのだが、「ナゼだ!」という疑問はずっと引きずり、何かにつけて思い出す疑問となる。
社会人になると、当時丸呑みして覚えていた疑問にぶつかり、学術的な論拠を得てスッキリするという学び方にも多少軸足を移す事ができる。こうした学習は何かをするために必要な事ではないが、自分の中の世界を広げてくれるし、合理的な判断をするためにも役立つ。
本当に些細な事が多いのだ。
「赤字の計算をする時に、-1.5を四捨五入すると-2にするのは違和感がある。」とか、
「5分の1は、10進数なら0.2と割り切れるのに、2進数だと、0.00110011…と循環小数になるのは何となく納得できない。」とか。
経営やコンピュータに関わらない実業とそれた部分であっても、そもそも、「分数の割り算は何で逆数をかけるの?」というあたりから、良く分からずにルールを呑んでいる部分はたくさんある。
覚えた当時の頭では理解できなかっただろうが、今であれば理解できるしその理解は他の疑問も連鎖的に解かすケースが少なくない。
しかし、何といっても新しい概念を理解する時に感じる世界の広がりみたいなものは、何歳になっても楽しいと感じるものだ。昇進して、新しいポジション・新しい視点で物事を考える時に感じる別世界の感覚と、虚数を理解して直線から面積に広がる数の世界を知る興奮と、意外に似ているのかもしれない。