2005年7月15日

《研修の必要性》

今回、名古屋・大阪で募集をかけ、優秀な人材が加わることによって当社の陣容も一段と厚くなった。
来ていただいた方々を見ると、立派な経歴があり、対応もとても丁寧で、PCやその周辺器具に関する知識も十分にあるという方が多くいる。
それでも現場に投入するのは不安がある。なぜだろうか。
一つには、受注経路の把握が問題としてある。当社のような「黒子」産業は関わっているお客様がどんな立場にいる人なのか?を推測する能力が不可欠だ。これは、何度も現場に入っていくうちに受注経路をそれとなく把握できるようになるし、お客様の階層による「会話していい深さ」というものを適切に判断できるようになる。これが出来ないうちは、とかく、怪しい言動や対応の過不足が生じてしまい、うちの業種では一人前の技術者とは認められないのだ。
もう一つには、作業内容の把握が問題としてある。PCの操作だけの話ではない。たとえば、パソコンを箱から出す作業をプロフェッショナルの視点で考えてみよう。まず箱から出す前に、そのパソコンが正しく設置場所にあることを確認する。開けた後すぐに保証書をひとまとめにする。パソコン本体をカバーしているビニールなどを下に引き、パソコンや一時置きするテーブルを傷つけないように配慮する。ケーブルなどの付属品が正しく入っているか確認する。マニュアル類をまとめる。・・・。
数え上げればきりが無いほどの注意事項をパッパと処理しながら手早く行うのだ。大量にPCを導入する時には、保証書やマニュアルの数が合わない、○○に傷がついた、ケーブルが足りない、箱と現物のシリアルが合わない、などのトラブルが少なからず発生する。後々気付いて箱全部調べなおし、ということを泣きたくなるほど経験したプロだからこそ知る本当に細かい部分の配慮なのだ。
開梱・梱包といった基本作業ですらこのように、プロとアマではサービスの品質は大きく変わる。設置・設定に至って、直接エンドユーザと対応しなければならないシーンで、経路や内容を把握していない人を使うことがどれだけリスキーか、と考えると恐ろしくなるのだ。
我々の業界では、「そうしたものを覚えるのは現地である」、という考え方が殆どである。実際私もそうだが、一緒に入る先輩作業者が行う姿を見て必要なことは全て覚えた。自分でも何度となく失敗して、不審に思われるのを何度となく回避しながら、あらゆる状況を経験しながら注意深くなった。
当社も今まで新しく参加してもらってきたスタッフは同様に現地経験を積ませて一人で対応できるレベルにまで育ててきた。育成のノウハウもあるし、フォローも巧みで危ない人をあまり前面に押し出さない。しかし何よりも、今までうちで定着している人たちのレベルは、数回現地経験を積ませれば十分に色々な必要知識を吸収できる、というすでに高い水準に合ったとも云える。
しかしながら、今回のように一時期に固まって大量に応募が来た場合、「現地経験」は如何にも無理があるのだ。確かに、何人かは実用レベルにまで達していただき既に当社の中心スタッフになりつつあるが、一方でお客様と危うい対応をして外されたり、不審に思われたり、技術不足が指摘されたり、となんともならない方もいる。普通の対応であればしっかりでき、PCに関する基本スキルも担保できているにも関わらずだ。
私が思うに、一概に新人スタッフが悪いわけではないのだ。きちんと時間をかけて、仕事が発生するまでどれだけの業者の方やバックグラウンドで働く営業・手配の手間がかかっているか、その仕事がどんな仕事につながっていくのか、ということを事前に説明して、作業に関わりそうな基本知識や行動基準を事前に入れてあげておく。そうした事前準備段階を踏むことで最低限の気構えや事前情報を担保することができるだろう。今までのように、「新しい人いれるから、フォローしてあげて。」「疑問点があれば、うちの○○に聞くようにして。」という現地OJTには限界があるのだ。
入り口さえ上手く入れれば・・。新しい人を使う時に常に我々が願うことである。
「一つの成功が信用になり、次の仕事につながっていく。」
これは当社そのものにも云える事であり、もちろん作業者本人にも云える事である。新しい人が入るそのはじめての仕事も、関係者が熱い気持ちでつないだ仕事であり、その仕事をきちんと仕上げる事により、新しい仕事をもらえるチャンスが広がる。
せっかくのスキルが、せっかくの堅実な性格が、活かされる事なく初めての信用を上手く勝ち取れずつぶれていく。そんなシステムを変えていきたい。仕事の入り口は、出来るだけうちの会社で守ってあげたい。
7月は忙しい。私も現場を駆けずり回り、人手不足は深刻である。が、新しく来てくれた人は使いこなせずにいる。こんな悔しいことは無い。
研修を含め、システムを作り上げるにはコストも時間もいる。どちらも現段階では十分に確保できないでいる私としては、新しく当社のお仕事に参加してくれる方に、まず思いだけでも理解して欲しいと思っています。だからこそこのホームページにも本音を綴っています。
「仕事欲しい。お金欲しい。汚れる仕事は嫌だ。」は、十分に理解しています。しかしその前に当社を見てください。出来てまだ2年の若い会社。現行スタッフは大忙しです。少しでも助けて欲しいと思って、応募者の中から有望と思われる方に出来るだけ簡単なお仕事をお願いしました。チャンスを活かした方はあっという間に現行スタッフの仲間入りをして大忙しです。汚れる仕事や地味な仕事が嫌だといった方には、そのクライアントさんから来る全てのお仕事は二度ときません。
シンプルですよね。当社はとても忙しく、新規スタッフのサービスを買いたいと思っています。新規スタッフは自信を持って当社にサービスを売れると思っているのか?ここが重要なんだと思います。
「売れるために何が必要なのか?」というものを、是非考えてください。そこに当社の求めるスタッフ像があります。
研修、必要だと思ってます。新規スタッフを何とか活かしたい。コストをかけてもいい。時間をかけてもいい。必ず充実した研修が出来る会社にしていきたいと思います。
次を攻めるため、自分は営業したい。会社のシステムを作りたい。そのために、まずは想いを継いで行こう。
明日は、初めて使った新規スタッフの穴を埋めるため、ひたすら工場で梱包作業に行ってきます。本当に大事なお客様なんです。想いを継いでくれるスタッフ、歓迎します。